2011/03/19

原発関連その2:福島第一原子力発電所 まとめ


◆その1:3/13(日)チェルノブイリを振り返る
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■いままでのおさらい


原子力発電とは、放射性物質でできた燃料棒を核反応させて得られた熱で水を沸騰させ、その蒸気の力でタービンを回して発電しています(仕組みは火力発電と同様)。

福島原発は沸騰水型原子炉(BWR・boiling water reactor)といいますが、これは水で核燃料を冷やしています。そのため、利用されている水は中性子により放射化しています。

地震により発生した津波により、電気系統の装置が破壊され、この冷却水を送るポンプが作動しなくなり、それにより炉内に注水ができなくなったことから、空焚きの状態になっています。

このため、燃料の温度が融点に達し(2500度~3000度)既に炉心溶融(=メルトダウン)が起きてしまいました。

加えて、燃料温度の上昇により炉内の水分が蒸発し、炉内の圧力が急激に上昇しました。
このままほおっておくと、炉内の圧力上昇により容器が破断するため、放射化した水蒸気を炉外に放出しました。これにより、周辺の放射線量が上昇したと思われます。

その後、圧力容器内に水を注入し、温度を下げようとしていますが、ポンプ系統が故障して注水できないため、消防車等で散水して少しでも温度を下げようとしている状況と思われます。

炉心溶解しても核燃料が圧力容器もしくは格納容器内部であれば被害を抑えることはできますが、燃料の燃焼等による熱で容器が融けた場合、水蒸気をはじめ、あらゆる放射化された物質が大気中に放出され、大規模な放射能汚染が始まる危険性があります。

■放射線の種類と性質

放射線による人体への影響については
で述べていますので参考にしてください。


■臨界とは

そもそも、臨界状態とは、液体が液体としてその蒸気と共存しうる限界の状態。つまり超々高圧状態における沸点のことをいいます。原子炉においては、原子核分裂の連鎖反応が一定の割合で継続している状態を臨界状態といいます。


連鎖反応の量が反応を持続できるほどの規模に達しておらず時間とともに減少する場合、この状態を臨界未満または未臨界と呼びます。
一方で、連鎖反応の量が時間とともに増加していく場合、この状態を臨界超過または超臨界と呼びます。

ここでいう典型的な反応とは、核分裂反応を指します。



中性子を吸収したウラン235が、クリプトン92とバリウム141に分裂した例を考えると、平均2 - 3個の高速中性子が放出され、この中性子が別のウラン235に再び吸収され、新たな核分裂反応を引き起こすが、これを核分裂連鎖反応といいます。
この連鎖反応をゆっくりと進行させ、持続的にエネルギーを取り出すことに成功したのが原子炉です。
一方、この連鎖反応を高速で進行させ、膨大なエネルギーを一瞬のうちに取り出すのが原子爆弾です。

今回の事故で恐れているのは、この連鎖反応の進行を止められなくなってしまうことだと思います。

■放射線の影響

放射線は,電離をおこすエネルギーの流れといわれています。放射線にはさまざまな種類がありますが、レントゲンに使われる「X線」「アルファ線(ヘリウム原子核)」「ベータ線(電子)」「ガンマ線」「中性子線」などがあります。
その透過性については上図を確認してください。

放射線の被曝により、細胞のDNA(デオキシリボ核酸)など,重要な生体分子を傷つける可能性があるとされています。放射線が直接的に生体分子を傷つける場合もあり得るが、間接的な影響の方が一般的には大きいと考えられています。
特に放射線の影響を受けやすいのは、活発に分裂する細胞とされています。がん細胞等は活発に分裂するので、正常細胞にくらべて放射線の影響を受けやすいとされています。

低い被曝線量の影響はよくわかっておらず、放射線防護の基準となっている「ICRP(国際放射線防護委員会)」の勧告では、事故などによる一般公衆の被曝量(自然放射線と医療行為による被曝は含めない)は年間1mSv(放射線をあつかう作業者は20mSv)をこえてはいけないことになっているそうだ。
但し、1mSvは放射線防護のための目安であって,「これをこえた被曝は即危険」という値ではない。「アメリカでの取りまとめによると、100mSvの被曝をした場合100人中1人の割合で癌になる人がふえるとされています。

又、放射線による影響については、動物実験から遺伝的な影響もあることがわかっている。
遺伝的な影響とは、放射線を受けた生殖器の影響が次世代に受けつがれ、突然変異が増えることを指します。



■臨界の危険性


臨界がなぜ”危険”か、検証したいと思います。
原因は以下が考えられます。

①臨界進行による容器破壊に起因する放射性物質の飛散
②中性子による物質の放射化(含む人体)
③①②から大気中に放出された放射性物質による人体等への影響


臨界進行による容器破壊に起因する放射性物質の飛散

これについては、核反応が制御不能となり、格納容器を破壊した後の
エネルギーにより、容器内及び周辺の放射性物質が飛散することを
想定しています。
では、圧力容器および格納容器が破壊されるにはどの位エネルギーが
必要なのでしょうか。

まず、破壊のされ方、ですが、容器自体が熱と内圧により破壊されると思われます。

■圧力容器の鋼材は以下の通りです。

また、「0.1%耐力が1230MPa級の超高圧圧力容器用鋼」ともあります


■格納容器については、「当該継手部のHAZの低温靭性に優れる引張強度が585MPa以上の高強度格納容器用厚鋼板」とあります。

以上を勘案するに、
耐圧性は
圧力容器:1200MPa
格納容器:600MPa
程度と推定できます。

また、融点については、あくまで利用されている金属は耐高圧力鋼であることから、
1,600度以下であろうと推定される。
(融点に近づけば、物性が変化し耐高圧力性は失われる)


■燃料の融点については以下の通りです。

■今後のシナリオは?


以上から、今後のシナリオについて考えます。

ア)高温となった燃料棒が溶解若しくは破断・落下等で直接容器に触れて容器が溶解
イ)高温となった燃料棒が溶解・破断により落下、乃至は冷却水位の回復などにより
水と接触、水蒸気爆発を起こし容器の耐圧を超え破断

ア)については、アメリカのスリーマイル島原発事故においても、大量の核燃料が圧力容器底にたまり、核反応を進行させ容器を侵食していたことから、今後起こる事故として最も可能性として考えられます。

イ)については、冷却水注入時に圧力弁解放を行うことで、放射化した水蒸気を空気中に解放せざるをえない状況ではありますが、回避することができることから、人為的なミス等を除けば起こる可能性は考えずらいもの思います。

いずれにしても、今回の事態収拾方法は唯一、炉内への給水再開以外に考えずらいということが良く解るかと思います。


■私見

実は、ここの項目では、核燃料の燃焼によるエネルギーやそれに伴う内発変化等についてシミュレーションをしようかと思っていました(後でやるかもしれません)。

また、構造上どれだけ容器が丈夫であっても、溶接等でつないでいる配管やその次手の耐久性によっては、想定より低い内圧で、容器の機密性が失われる可能性が高いと考えられます。

いろいろと情報をあつめてつらつらと書いているうちに、ふと思った事があります。

それは、チェルノブイリやスリーマイルでの事故では、発生から爆発ないし事故までの時間は極めて短いことです。この時間の経過を見るに、今回の福島原発への対応について、時間的な経過があまりに長すぎることが疑問としておこります。

本当にレベル5程度なのだろうかと。

上記で述べてきたことからは、ポイントはやはり圧力容器内の燃料棒の状態が物凄く重要であるということではないかと、小生は結論付けました。

しかしながら、過去の事例を参照するに、可能性としては、すでに圧力容器および格納容器が既に破損していることもありえるでしょう。そうでなければ、まさに神風が吹いている状況かもしれません。
その理由は以下の通りです。

あ)まず、非常に不思議なのは、運転中であった100万KW級の原子炉に冷却水が注水されなくなったにも関わらず、1週間近くもレベル5程度の事故で納まっていること。

い)事故発生後まもなく事態収拾した100万KW級のスリーマイル島原発での事故ですら、圧力容器の底に大量の燃料が溜まり、破損寸前、ないし亀裂が入っていた状況であったことから、同様の事案が起こっているとすると、すでに福島第一のどこかの炉では圧力容器は破損し、格納容器内に燃料が漏れている可能性は十分考えられます。

但し、圧力容器を包む格納容器があるため、最悪の放射線漏れを防いでおり、ここに注水することで破損した燃料の核反応進行を防いでいる可能性があることです。確かに、格納容器は容積がかなり大きいこともあり、ここに注水できれば核反応自体は抑制できる。但し、反応が収まるまでは、放射性物質が破損した配管や次手、亀裂があれば、そこから放射性物質は漏れ続けるでしょう。

又、万が一圧力容器をも破壊し、一部の燃料が土中に漏れているかもしれません。
ただ、海沿いという立地に助けられ、核反応が一定以下に抑えられている等で事なきを得ている可能性もあります。

先日、こちらにおいて想定した放射線量について、
100m=炉周辺の放射線量
100km=水戸周辺の放射線量
にオーダーベースで一致していることから、、刻一刻放射性物質が漏れ続けていることは、どうやら事実である可能性が十分考えられるということです。
(すでに静岡で核反応時に生じる放射性物質が観測されています)

もしそうであれば、スリーマイルは超えていますので、レベル5以上ではないか、ということも考えられますし、外から放水して新たな水を内部に供給し、燃料が反応しないよう水で中性子を吸収するという理屈も理にかなっています。

そういったことから、専門家の言う通り、チェルノブイリの如く、爆発による放射線物質の飛散は起こらないかもしれません。

但し、既に相当量の放射性物質が漏れ続けているため、早急な対応が必要なことは間違えないでしょう。
加えて、足元で既に囁かれているように、情報遮断や初動以降の対応の失敗等、反省すべき点は多くあるのではないかと思います。これらに対してどのように対処していくかが、大きな課題となるのではないかと考えます。


②③は余裕があれば更新します。
②③に関するリンク

■放射化分析について

■人体への影響
こちらをご参照ください


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■福島第一画像










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